「名づけえぬ質」を失ってなんだかさみしい。床材のはなし。
息子が通っている保育園に連休明けに行ったところ、
廊下の床材が新しくなっていました。
前は、昔からあるような教室風の木の床材。
縦と横に並べて交互に組み合わせた床材です。一度は見たことがあるかと。
スクールパーケットといいます。
新しくなった床は、ビニールシート。
メンテナンスが容易だし、汚れも取れやすい。水にも強い。
安価だし施工も容易、滑らなかったり、といったメリットがありますが、
私はここの廊下が大好きだったので、とても残念で。
通い始めたときから、
朝、息子を連れていくと、朝の光が園庭に面した窓から降り注ぎ、
縁側のような美しく心地よい空間に癒されていました。
特に冬が近づくにつれ、朝の光の差し込み具合が美しくて。
保育園側のメリットも十分理解できるし、
時代の変化とともに床材にこうした選択がされるのも仕方がないと頭ではわかってるのですが。
小さな変化だけど、その分、美しい「名づけえぬ質」が、少し失われてしまった気がして。
※パターン・ランゲージを提唱したクリストファー・アレグザンダーは、
美しい町や建築を見て感じる気持ちのよさや、美しさを感じる感覚を
「名づけえぬ質(Quality Without A Name)」と読んだ
こういった出来事が、世の中のいろんな場所で起きているんだろうなぁと考えたり。
普及している新しい素材をを上回るような、メリットや価値観が昔からの素材にあれば、
もともと使われていたものが失われないんだろうかと考えたり。
記憶の中の情景をスケッチしたのでシェア。
手前は、上履きを両手に持っている息子。